株式投資でお金を儲けるためには、各々の業界に熟知している必要があると思います。今日はコロナ禍後にバブル景気で沸いた海運業界についてまとめていきたいと思います。
海運業界とは
海運業界とは海上で物資を運ぶビジネスです。
家具や衣類、電化製品、食料品、自動車、建材、鉄鉱石などを運びます。さらには貨物だけではなく、旅客も運びます。世界の貿易の9割は海上輸送となります。
また海運会社では船を貸借するビジネスも行っています。日本では、日本郵船、商船三井、川崎汽船が大手3社として挙げられます。
日本の物流の99.6%が海上輸送
日本は島国のため、物流の99.6%が船で運ばれてきます。日本の物流を陰で支えているのが、海運業界なのです。
海運業界は、運賃が上昇すると儲かります。また、運賃が下落するとあまり儲かりません。
運賃は景気や世界情勢に左右されます。そのため、海運会社は市況関連株と呼ばれています。
主な船舶の種類
海運会社では、船舶を利用して海上輸送を行います。利用する主な船舶は以下となります。
- コンテナ船……コンテナのみを運ぶ船です。定期的に決まったスケジュール通りに港にコンテナを運びます。
- LNG船……液化天然ガスを運ぶタンカーです。
- ドライバルク船……鉄鉱石、石炭、穀物などを梱包せずにバラ積みする船です。
- タンカー……原油や石油製品を運ぶ船です。
- 自動車船……自動車専門に運ぶ船です。
- フェリー……人を運ぶ船です。
- クルーズ船……観光を目的とした船です。
大手3社の持ち株会社ONE
日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社がコンテナ定期船部門をスピンアウトして(分社化して)統合して会社を設立しました。
2017年10月から準備を行い、2018年4月からオーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)として新たに事業をスタートさせました。
持ち株比率は、日本郵船38%、商船三井31%、川崎汽船31%となります。日本のコンテナ船事業はONEが支えます。
注目したい指数
バルチック海運指数(BDI)
正式名称は「The Baltic Dry Index」です。通称BDIと呼ばれています。イギリスのバルチック海運取引所が算出・公表する指数です。 世界各国の海運会社やブローカーから、鉄鉱石・石炭・穀物などの乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を収集し、1日1回算出しています。 1985年1月4日を1000として算出しています。 国際的な海運運賃の指標となっています。 株式市場でも、海運会社、特に不定期船を主力とする会社の株価連動性が高いとされています。
出所:野村證券・證券用語解説集
中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI)
中国輸出コンテナ運賃指数の英語表記です。China Containerized Freight Indexが正式名称です。
上海航運交易所が算出・公表する中国のコンテナを対象とした運賃指数のことです。1998年1月1日の値を1,000としています。コンテナ船事業を営む世界の主要な船社から提供されるコンテナ運賃に基づき、毎週金曜日に公表されています。
出所:国土交通省
上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)
国際的なコンテナ船の運賃市況の目安となる指数です。
コロナ後の特需
コロナ禍による物流の混乱と「巣ごもり需要」によってコンテナ船運賃の上昇により歴史的な海運バブルが訪れました。
コロナ禍の不景気で人員整理が行われ、人手不足に陥っていた時に、大量の「巣ごもり需要」が発生しました。人手不足のため、荷物を船舶で運ぶには通常よりも遅れてしまいます。そこに、いくらお金を出してもいいから荷物を運んでほしいというニーズが生まれ、船舶運賃は跳ね上がりました。
これにより、海運業界は歴史的に見る活況を迎えました。しかし、その流れはアフターコロナによる経済の再開で幕を閉じました。活況は長くは続かず、一時的なものでした。
2024年現在の事業環境
国際情勢の影響
紅海付近については、フーシ派による船舶攻撃が後を絶ちません。そのため喜望峰周りの迂回ルートを取らざるを得ない現状が続いています。そのため、船舶の輸送運賃が上昇しています。
世界経済の影響
世界各国でロシア・ウクライナ紛争の影響で穀物の値段が上昇したことなどを皮切りに、インフレが進んでいましたが、最近はアメリカをはじめ、インフレがやや鈍化の傾向があるようです。それに伴い、金融政策の変更が出てきました。
その結果、為替への影響や経済への影響が考えられます。
クリーンエネルギーの影響
温室効果ガスの排出に影響を与える二酸化炭素などの抑制が進む中、新しいクリーンエネルギーへの代替が進んでいます。
その結果、新しい造船の建造やクリーンエネルギーの輸送など新たなビジネス時代へと進んでいきそうです。
まとめ
未曾有だの海運バブルにより海運業界に活性化の嵐が訪れました。その結果、海運大手3社は、自社の財務ストックを充実することが出来ました。また、船舶の購入をするという従来型の投資だけではなく、非海運事業への投資を積極的に行うなど、事業のボラティリティー(振れ幅)を平準化するように施策を取っているのが印象的です。今後は、世界人口の増加に伴う、世界経済の上昇も期待でき、景気も良くなると予想されます。海運業界も益々発展していくのではないでしょうか。
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