障害者手帳を持っていることを会社にカミングアウトした方がいい?

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障害者手帳を持っているけれど、それを会社に報告するか報告しないかで迷っている方もいると思います。個人的には会社に伝えることをお勧めします。その理由を私の事例も交えながら具体的に述べていきます。

目次

伝える場合のメリット・ディメリット

メリットデメリット
合理的な配慮が受けられる
障害があることが会社や職場にバレてしまう

合理的な配慮を受けられる。これに尽きます。後程、説明しますが、合理的配慮はあるととても助かります。しかし、自分に障害があるということを常に意識して働かなくてはいけなくなるのはちょっと辛いです。周りからは障害を持っていると認識されます。

伝えない場合のメリット・ディメリット

メリットデメリット
障害を持っていることが会社や職場にバレない
健常者と同じ評価軸で仕事をすることになる

私は障害がありましたが、それに気づかずに仕事をしていたため、評価が上がらず、異動ばかりしていました。ただし、障害者として見られることはないため、精神面では職場生活は楽かもしれません。

私のケース

  • 途中から障害者手帳を取得し、会社に伝えた。
  • 障害を持っていることを知っているのは役員、人事、部内のメンバーのみ

私は途中からですが、障害者手帳を取得し、カミングアウトして働いていました。私の障害を知っている人も少人数でした。なので、通常のケースとは違うかもしれませんが、障害の合理的な配慮を受けつつ、障害を知っているメンバーは限られているという状況でした。

しかし、これも、問題はありました。私は管理部でしたが、事業部の方からは通常の方と同じように扱われます。そのため、辛く当たられてしまうこともありました。一方、障害者雇用で入社してきた社員の方については、障害を持っていることをほぼ全社の人が知っているため、辛く当たられることはあまりない印象でした。

会社に伝える方がよい理由

  • 会社は障害者手帳を持っている社員を大切にする
  • 合理的配慮はとてもありがたい
  • 健常者と同じ評価軸では戦えない
  • 確定申告が楽

会社は障害者手帳を持っている社員を大切にする

企業は一定数以上の障害者を雇わなくてはいけないというルールがあります。これは法定雇用率と呼ばれるもので企業はそれを守る義務があります。法定雇用率は2024年は2.5%、2027年からは2.7%になります。

従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります。(障害者雇用促進法43条第1項)

民間企業の法定雇用率は2.5%です。従業員を40人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。

厚生労働省 障害者雇用のルールより

この法定雇用率が守られていない企業にはハローワークから行政指導が入ります。最終的には企業名が公表されます。

厚生労働省 ハローワークからの行政指導PDFより

そして、法定雇用率を守れていない企業は、障害者雇用納付金が徴収されます。つまり、障害者を必要な人数を雇えていない企業はお金を払わなくてはいけないのです。法定雇用率を達成している企業は逆に調整金・報奨金が支給されます。障害者を必要な人数雇えていると、お金がもらえるのです。

障害者を雇用するためには、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等が必要となるために、健常者の雇用に比べて一定の経済的負担を伴うことから、障害者を多く雇用している事業主の経済的負担を軽減し、事業主間の負担の公平を図りつつ、障害者雇用の水準を高めることを目的として 「障害者雇用納付金制度」が設けられています。

具体的には、

  • 法定雇用率を未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金が徴収されます。
  • この納付金を元に、法定雇用率を達成している企業に対して、調整金、報奨金を支給します。
  • 障害者を雇い入れる企業が、作業施設・設備の設置等について一時に多額の費用の負担を余儀なくされる場合に、その費用に対し助成金を支給します。
厚生労働省 障害者雇用納付金制度より

仮に障害を持っているA社員と障害を持っていない同じA社員であれば、障害を持っているA社員を大切にします。これは、私が勤めていた会社の上司に言われたことですが、やはり障害者手帳を持っていると優遇される事実があるようです。

そして、障害者手帳を持っている社員は一般の社員よりも簡単に首にはできないという現実もあります。上記で述べた法定雇用率の問題もありますが、障害を理由に解雇することは法律で禁止されているため、最悪の場合、不当解雇の問題に発展するケースもあるそうです。企業はリスクを避けます。障害者を解雇するというのは実はデリケートな話なのです。

そのため、企業は障害者雇用に力を入れています。しかし、障害者であれば、誰でもいいわけではありません。実は、企業が1番欲しがる障害者はやはり手間がかからない障害者、つまり、健常者と同じように働くことが出来る軽度な障害者なのです。軽度な障害を抱えている人材はどの企業からも引っ張りだこととなります。少しの合理的配慮があれば、普通に仕事ができるからです。このような障害者は市場価値が高くなります。

ただし、軽度な障害者の人数は少なく、採用の競争率が激しいです。採用試験に合格してもさらに良い会社に行ってしまいます。そのため、障害者雇用で人材を獲得することは難しいのです。これも障害者が大切にされる理由です。

合理的配慮はありがたい

私が勤めていた会社では、障害者に対して合理的な配慮事項として以下が定められていました。

  • 残業なしの配慮
  • 休日出勤なしの配慮
  • 転勤なしの配慮
  • 通院の配慮
  • 障害特性に対する合理的な配慮

これはとてもありがたかったです。例えば、他の部員が40時間、50時間と働き、残業をするなと発破をかけられている中、残業なしで帰宅することが出来るのです。実をいうと私は、(今思えば馬鹿なのですが、)残業代が欲しかったので、月20時間まで残業させてくださいと会社にお願いしていました。

それくらい、融通の利く働き方が可能になります。また、障害特性に対する合理的な配慮としては、同じ部署の発達障害の人への配慮事項として、指示系統を統一するというものがありました。発達障害のため、色々なところから指示があると混乱してしまうため、上位等級の一定の社員から指示を与えるというものでした。このように、仕事をする上で働きやすい環境を会社が整えてくれます。

健常者と同じ評価軸では戦えない

私は、自己紹介のところでも少し述べさせていただきましたが、精神障害と診断されるまで、異動ばかりの会社員生活でした。どんなに頑張っても評価は上がらず、期待通りの評価は上げられませんでした。もちろん、薬を処方されて、症状が落ち着いた後は、期待通りの評価を貰えるようにはなりましたが、それは、障害者手帳を会社に提出し、合理的な配慮を受けた結果でした。

つまり、合理的配慮がない状態では、やはり期待通りの成果は上げられなかったと思っています。

そして、何十時間も残業をすることは体調的にできません。入社時に80時間位残業がある部署に配属されたことがあったのですが、体がミシミシ言ってくるのが分かりました。それに加えて、資格取得も求められたため、当時はかなりハードは生活を送っていました。若かったからできたことですが、障害を抱えている私にはとても大変な経験でした。今なら、働き方改革も進み、80時間残業することは少ないかもしれませんが、残業は少ないに越したことはありません。健康的に生きるなら、残業はない方がよいです。

また、皆さん自分の評価を上げるために必死で働いています。守るべき家族がいる方もいますし、自分のキャリアアップを目標に頑張っている人も沢山います。そんな人たちの中で一緒になって同じ評価軸で働くことは不可能だと私は気付きました。体調管理に気を使わなければいけない私と体が強く、一日中働いていても、健康に異常が出てこない社員の人とでは、出てくる結果が違ってくるのです。

なので、合理的な配慮を貰い、働くことがよいと私は考えています。

確定申告が楽

これは、上記の件に比べれば、そこまでメリットではないかもしれませんが、障害者手帳を持っていて、会社に申告していない人は確定申告を自分で行わなくてはいけません。障害者控除が受けられないからです。

なので、自分で確定申告を行い直す必要があるのですが、基本的に税務署は土日祝休みのため、休日に税務署に行って確定申告をすることは出来ません。

(私の住んでいた自治体では、休日に確定申告する日が何日か設けられていました。)

そのため、有給休暇を取得して平日に確定申告に税務署へ行くか、自分でネットから平日に確定申告を行うかが必要になります。もちろん副業や株式投資で確定申告が必要になる人もいるかもしれませんが、基本的に、障害者手帳を会社に提出していれば、会社が代わりに行ってくれるため、確定申告の必要はありません。

慣れていればそこまで時間はかからないかもしれませんが、プライベートな時間を確定申告に充てるよりは、自分の時間を有意義に使ったほうがいいと思います。

以上のことから、私は障害者手帳を持っている場合は、会社にカミングアウトして伝えた方がよいと思っています。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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